足利市の観光植物園、あしかがフラワーパークで500万球を超えるLED(発光ダイオード)電球を使用し、10万平方㍍の園内を光で埋め尽くすイルミネーションイベント「光の花の庭」が開かれています。24回目となった今シーズンの注目はなんといっても新たに導入した光と花の香りを組み合わせた体感型イルミネーション。大藤棚の下に立つと、その香りに包まれ、不思議な世界に連れていかれそうな感覚になります。
香りで感じる季節の記憶/光に包まれた夜の庭園
今シーズン、香りの空間演出を行ったのは「奇蹟(きせき)の大藤」「フラワーキャッスル」「光のバラ園」の3エリアです。毎シーズン、新たな演出を加え、訪れる人を楽しませてくれますが、今シーズンは「植物園という原点に立ち返るとともに、他の施設では行っていない試みとして光に香りを加えることに挑戦しました」ということです。
大藤は、創業200年以上の歴史を持つ香料メーカーなどの協力を得ながら今春の大藤シーズンに花から香りを採取し、分析、調香を行い独自の手法で漂わせることに成功しました。今年、すでに訪れた人は分かると思いますが、イルミネーションを見た後、目を閉じてみると春の満開のころの光景がまぶたの裏に広がります。イルミネーション自体も昨年に比べ電球数を大幅に増やした60万球でつくられていて、美しさがより増しています。
このほか、電球数を4倍に増やし背景に打ち上がる花火をより鮮明にしたフラワーキャッスルでは建物内の小部屋にさわやかなブルー系、光のバラ園では園を見渡せる見晴台で高貴に匂い立つダマスク系のバラの香りを漂わせています。
いずれも屋外ということで、安定的に香りを楽しんでもらうため、さらには香りが広く拡散して他のイルミネーションの雰囲気をそこなわないよう何度もテストしてきたそうです。スタートしてからも天候に合わせて放出する香りの量を変えるなど日々、工夫をしながら、「この香りはどうやって漂わせているのでしょう。楽しい仕掛けですね」と来場する人たちを楽しませています。
手作りが生む光の花/進化を続ける冬の絶景イルミネーション

同パークでイルミネーションを始めたきっかけは冬期にレストランでパーティーを開いてくれるお客さんに少しでも楽しんでもらおうと2001年、その周辺にトナカイなどの簡単な電飾をしたこと。これが予想以上に好評だったことから翌年、6万球でイベントをスタートさせました。その後、年々規模を拡大し、12年には「関東三大イルミネーション」、17年には「日本三大イルミネーション」に認定され、イルミネーションアワードでは7年連続全国1位を受賞し、一昨年から3年連続でインターナショナルイルミネーションアワードのイルミネーションイベント部門で全国1位を受賞しています。さらに今年度は年間を通して最も優れた施設に与えられる最優秀賞も獲得しました。
1面で紹介したエリアのほか、「スノーワールド」「日本の四季」「天空のお花畑と天の川」「きばな藤のトンネル」「みんなの地球」「レインボーマジック」「光のフラワーステージ」など見どころはたくさん。そのほとんどはスタッフの手作業。今シーズンも6月からこつこつと準備を進めてきたそうです。〝花を扱うプロ〟が生み出す〝光の花〟だからこそ、より楽しめるものに仕上がっているのかもしれません。

「うわー」っと声が出るほど全体を見渡すこともすてきですが、近づけるところは近づいてディテールをよく見ることも楽しみ方のひとつだと思います。意外なところに〝お気に入りの光〟を見つけることができるかもしれません。ぜひお試しを。じっくり見たい人には比較的余裕を持って見られる平日がおすすめです。それともう一つ。来園前に同園ホームページの「スタッフ日記」をあらかじめ読んでおくと、より楽しめると思います。

イルミネーション期間、展示替えするのも大きな特徴で「光とアメジストセージの融合」から始まり、11月下旬から12月下旬は「クリスマスファンタジー」、元日から最終日の来年2月15日まで「光と冬咲きボタンの競演」と続きます。


食事やお土産も充実。イルミネーション期間限定のディナーセット(期間によりメニュー内容が変更になる)やスイーツ、グッズなどもそろっています。また、新たな試みとして12月30日まで、夜の部(イルミネーション)の開園時間で中学・高校生を対象に「学割キャンペーン」を実施しています。チケット売り場で学生証や生徒手帳を提示すると300円の割引が受けられます。
同イベントは来年2月15日まで。期間中は12月31日のみ休園。開園時間、入園料などについての詳細は同園の公式ホームページや電話で確認してください。
あしかがフラワーパーク
足利市迫間町607
0284・91・4939




