
住まいに新たな価値と息吹をもたらす感性豊かなリノベーション
今回は桐生広域でこだわりの木の家「モックの家」を展開する草処建設さんが手がけるリノベーション住宅に訪問。古きよきものは残しながらも暮らしを楽しむ快適空間に変えて住まいの価値を高める豊かな発想と技術にびっくりの連続だったぞ!
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思い出残る実家のイメージを残しつつ、未来にも引き継いでいける住まいに


リノベーションの魅力は大切な思い出とともに古き良き部分を残しながらも住みやすい空間に変貌させること。桐生市宮本町の物件はまさにそのような施主さんの気持ちを最大限に反映させた住まいだ。

物件は都内在住の鎌田泉さんの空き家となっていた築約100年の生家。桐生が大好きという鎌田さんは処分するよりも地元へ帰る場所としてリノベーションを決めた。設計した同社の中野久美さんも「思い出残る家なので、景観と造形をなるべく生かしながら使い勝手をよくすることを心がけた」と話す。注目は玄関から続く10畳に及ぶ土間スペースに薪(まき)ストーブを設置したLDK。ここがとにかく居心地がいい。和室は元のまま残した。古い建具もそのまま使用した部分もあり和の温かみのある雰囲気も持たせた。たんすを食器棚にするなど古い家具を再利用する工夫も。鎌田さんは「この天井を見て寝ていたことなど何かとこの家を思い出していた。帰る場所ができてうれしい。こうしておけば、この先、定住したり、リモートワーク中心の息子が移住することもできる」と満足そうな笑顔で話していた。


しっくいとコンクリート打ち放しのような外壁材でモダンな仕上がり
〈物件file.2〉
古民家に住む使い方以外の価値を持たせ、人が集まる場所へ
2軒目は桐生市梅田町の中野さんが購入し完成間近の古民家物件に潜入。約270坪の土地に建つ築約170年、約50坪の建物はまさに「圧巻」の素晴らしさだった。玄関を入ると土間と薪ストーブを配する現代的カフェ風のキッチンを擁するLDK、高い天井を抜き梁(はり)を生かした広々とした開放的な空間が広がる。工事中に自然と集まってきたという古さと気品を併せ持つ調度品や家具の数々、多くの古時計も和モダンな趣を高めている。天井の補修や床材に梅田産の杉を張ったり照明器具も地元メーカーに特注したりと地産の材料使いにもこだわった。随所にさまざまなアイデアが凝らされ同社のリノベーションのモデルハウス的な役割も担うことになる。


中野さんがここでしたいことは培ってきたノウハウとアイデアを結集させ古民家を住む以外の使い方、「人が集まる場所」へと価値を高めることだ。使い方としては地域の食と文化をつなぐ一棟貸しの民泊、キッチンスペースを利用してのレンタルカフェ、広間ではセミナーやワークショップもできる。和室のしっくい壁には映像も映せるので活用法はさまざまだ。建物名は「雨露」。中野さんは「縁側に座り川向こうの山に雨が降る景色を眺めるゆっくりとした時間が最高。晴れている日もいいけど雨露をしのぐ、そんな時間をみなさんに提供したい」と話す。5月にはオープン予定で楽しみなスポットになりそうだ。

3月22日㈯・23日㈰
桐生市民春のリフォーム祭り
同社は22㈯、23㈰に桐生地域地場産センター1階展示室で「第28回桐生市民春のリフォーム祭り」を開催。地域密着の工務店として培ってきた豊富な経験をもとに安心・安全・快適な住まいの提案をする恒例のイベントでリノベーションはもちろん、リフォームでどんなことができるのかを実感できる絶好のチャンスだ。今回は防犯・防災リフォーム例も数多く紹介される。時間は午前10時〜午後5時(23日は午後4時まで。入場は終了1時間前まで)。無料。

草処建設株式会社
桐生市新里町新川171
0277・74・1682