4年前のある日、テレビ番組を何気なく見ていたところ、90歳を超えたおばあちゃんが、新聞紙を使ったちぎり絵を披露していました。画面いっぱいに広がる、色とりどりのちぎり絵の作品たち。「私にもできるかもしれない」さっそく試してみたくなりました。

 ちょうど6月、季節は初夏。わが家の庭で取れたビワの実が、食卓に並んでありました。その日の新聞を広げると黄色と緑鮮やかな広告が目に入り、黄色はビワの実、緑は葉っぱ色。思わず「これ、使えるかも!」とひらめき、ハサミを使わずに指でちぎって、色紙の上にペタペタと貼ってみました。するとどうでしょう、立派な芸術作品が出来上がり、まるで画家にでもなったかのような気分。それを老人会の仲間に話してみたところ「それは面白そうだ!」「やってみたい!」と共感の声があがり「ちぎり絵の会」誕生です。今年で4年目を迎えようとしております。

 最初はただ、新聞紙の色を選びちぎり、花などを描いておりましたが、続けるうちに、だんだんと「もっときれいに作りたい」「こんな絵が描けたらすてきだな」と欲が出てきて、えとの動物や風景画などにも挑戦するようになりました。皆でアイデアを出し合い、時には悩みながら、時には笑い合いながら、制作に励んでいく中で自然と腕も上達していき、作品の画風も変わってきて張り合いも出てきました。

 作品を地域の文化祭に出展したり、地元の桐信さんのご厚意で、店内に展示していただいたりすることで、より意欲的に制作に取り組むことができ、素晴らしい作品が出来上がっていきました。先生もなく、会員の皆の知恵と工夫から生まれている新聞ちぎり絵、最高です。

 使う画材は色紙と障子のり、そして毎朝届く新聞紙。これだけです。「今日はどんな色があるかな?」と、新聞をめくる時間が楽しみです。私は新聞は読まず、広告の色のみ楽しみにしております。老眼がきつく読むのが大変ですので文字の大きい広告はきちんと見ていますよ。色も欲しいので。

 もし、少しでも興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、ぜひ始めてみませんか。「老人画家」誕生も悪くないようですので。

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