整体と手相鑑定を行っている「おおしまさんち」の家主です。私のエッセーはこれで最終回となります。

 私は、長年、介護福祉士として働いていました。その後、介護業界にリハビリが必要だと感じ、働きながら理学療法士の資格を取得し、高齢者のリハビリに携わってきた業界の異端児です。

 経験から率直に感じたのは、介護予防の大切さです。介護状態になってからのリハビリは、身体機能を維持・軽減するためのものでした。一方、介護予防のリハビリは健康寿命を延ばすものです。現在リハビリを受けられるのは、病院や介護サービスが主になっています。

 病気になってから行うリハビリは身体機能を回復するためです。とても大切なお仕事だと感じます。日本の医療・福祉制度は超高齢化社会により今や、財源・人手不足です。そのため、病院でのリハビリには時間や日数の限度があります。車椅子だった人が歩けるようになり、諦めていた肩が上がるようになる。そのような数々の経験は、自分のようにうれしく感じたのも事実です。

 コロナ禍を経験し現場で働いている同僚が心身の不調に悩む姿を幾度となく目にするようになりました。私自身も仕事でのプレッシャー、更年期や自身の家族の介護、動物たちのお世話などで心身が疲弊していくのを感じていました。限界を感じていた時に、空き家になった母の実家が活用できるのでは?と考えました。

 母の実家は昔、商売をしていて、週末になると「大島家」一同が集まるにぎやかな昭和の家でした。そんな愛着のある家で、今までの経験を生かし「整体」ができないか。「手当て」というのは手を当てると書きます。もっと、自分も相手もゆったりとできる施術ができないか…。そして、コミュニケーションの一つとして手相鑑定を取り入れることにしました。手相は一緒に目で見て感じられるものです。そして、誰一人として同じ手相の人はいない。

 人とのつながりが希薄になりがちな現在です。体の悩み、心の悩み、「ちょっと、おおしまさんちに、行ってくるね」そんな気軽な気持ちで訪ねてもらえる。桐生のお助け婆さんになりたい。それが、私の今の目標です。

 今まで拙い文章を読んでいただき感謝致します。ありがとうございました。

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