
最初は、ビール造りってなんとなく楽しそうだな、くらいでした。
でも実際にやってみると、全然そんな簡単なものじゃない。
温度、時間、原料の量。少し変わるだけで味も香りも変わるし、思っていた以上に細かい世界でした。
初めて試作したビールなんて、今思えばビールというより「麦ジュース」みたいな感じで(笑)。
自分では一生懸命作ったつもりだったけど、飲んでみて「これは違うな」と。
そこから何回も仕込んで、失敗して、また考えて。
そんな中で作ったのが「Cloud Nine Dog」でした。
初めて誰かに飲んでもらって、「これうまいね」と言ってもらえた時は、本当にうれしかったです。
たった一言なんですけど、その一言で「もっとおいしいものを作りたい」「もっとクオリティーを上げたい」と、一気に火がつきました。
それからは、自分たちのビールだけ飲んで満足しないように、全国のブルワリーのビールを買って飲み比べることも増えました。
「この香りすごいな」「この苦味はどうやって出してるんだろう」
なんて話しながら飲んでいると、普通に飲んでいた頃とは、ビールの見え方もだいぶ変わりました。
もちろん、今でも失敗はします。
思った味にならなかったり、仕込みながら「やっちまったな」と思うこともあります(笑)。
でも、最初の〝麦ジュース〟を考えれば、少しずつ前には進んでいるのかなと思います。
せっかくやるなら、群馬だけじゃなく、全国の人に「このビールうまいな」と言ってもらえるものを作りたい。
今はそれを目標に、毎回の仕込みと向き合っています。
次回はいよいよ最終話。最後は少しビールの話から離れて、自分自身のことを書いて、この連載を締めたいと思います。



