子どもから高齢者まで楽しめる気軽さ♪ ここ数年で競技人口が急増中!!

 「カコーン!」。木がぶつかり合う乾いた音が心地良く、爽快感を味わえるニュースポーツ「モルック」。昨年6月には日本初となる世界大会が北海道で開かれ、現在、急速に競技人口が増えているといいます。同大会に出場して世界17位という成績を収め、〝隣まち〟の足利市でモルックの普及に努めている「きたごうモルッククラブ」を訪ね、競技の魅力を同クラブ会長の松村徹さん(61)と徹さんの父で「たぶん国内最高齢競技者」という兵三さん(90)に聞きながら自らも競技を体験してみました。

モルックを広める

 「きたごうモルッククラブ」は足利市北部の北郷地区を拠点に活動しています。2023年7月、総合型地域スポーツクラブ「きたごうスポーツクラブ」の一つとして誕生しました。徹さんが新型コロナウイルス禍後、人が集まりにくく交流が滞りがちになるなか、テレビ番組でモルックの存在を知り、総合型の会長を務める兵三さんや協力者と話し合い、「人が集まりやすく、子どもから高齢者までが一緒になって楽しめる」ことなどを理由に設立。必要な道具、ルールなどを学び、指導員資格も取得し、体験会を開いて仲間を集めてきました。

きたごうモルッククラブの松村兵三さん㊧と徹さん

 現在、会員は20代から90歳まで45人。指導員は9人。定例で練習会と体験会を開催しています。また、同年12月に両毛地区で初の大会、第1回モルック「わたらせカップ」を開催。同月、日本モルック協会(JMA)の公認団体に登録されました。

 以後も精力的に普及活動を行い、大会開催のほか、市内外で無料体験会を開催。桐生市でも3回実施しました。併せて、とちぎ結婚支援センター足利などが開催した「恋モル」への協力なども行っています。

モルックとは

 モルックは1996年に北欧フィンランドで誕生したスポーツです。道具は木製で、投げる木の棒「モルック」、1から12までの数字が書かれた「スキットル」、投げる位置を示す「モルッカーリ」の3種類。

 モルッカーリから3~4㍍(JMA主催ゲームは3.5㍍)離れた場所にスキットルを並べ(並べ方は写真参照)、モルックを投げます(下手投げを行うのが基本)。倒したスキットルの内容によって得点が入り、先に50点ぴったりになった方が勝ち。50点を超えてしまうと25点に戻されます。3回連続してスキットルを倒せなかった場合は失格になります。

競技に使う道具のモルックとスキットル

 点数は、複数のピンを倒したときはその数。1本だけ倒した場合はスキットルに書かれた数字が得点になります。倒れたスキットルはその位置で再び立てられ、ゲームが進むにつれてスキットルがコート内に分散し、倒すのが難しくなっていきます。

 というのが基本的なことですが、自分や対戦相手の点数を計算しながらゲームを進めていかなければならず、常に点数を気にしながら、自分の得点も重ねつつ、相手が有利にならないようにスキットルを倒す戦略なども必要になってきます。

 1チーム2~4人のチーム戦が基本的ですがシングルマッチもあるそうです。 

ねらいを定めモルックを投げる

モルックの魅力

みんなに楽しんでもらおうと開催したファミリーカップ

 幅広い年代が所属する「きたごうモルッククラブ」。当初から参加している70代、80代の女性は「得点計算をするので頭を使うのがいいですよ」「仲間同士、わいわい楽しめるし、知らず知らずにたくさん歩いているので無理のない健康づくりにも最適」と話し、「子どもや孫のような世代と普通に会話し、競技ができるのはありがたいですね」と口をそろえます。

倒れたスキットルはみんなで立て直す
モルックを通じて世代間交流も活発に

 20代の女性は「テレビのバラエティー番組でモルックを知り、自分でもやってみたくなったのですが、どこでできるのか分かりませんでした。そんなとき〝恋モル〟の情報を知り、モルック目当てで参加し、このクラブに入れてもらいました」と笑います。今年から本格的に始めたそうで、「クラブには、うまい方がたくさんいるのでいろいろ教えていただいています。生活の中で楽しみがひとつ増えてうれしいです」と話してくれました。

 モルックやりたさに宇都宮市や鹿沼市から通う〝若手メンバー〟も。「地元にできるところがなくて、このクラブを探して会員になりました。あってよかった」と。取材中、館林市から男性3人が体験に訪れ、兵三さんやメンバーが付きっきりで約2時間指導。「面白い」「やみつきになりそう」と楽しそうに帰っていきました。

 また、足利市社会福祉協議会は高齢者の閉じこもり防止事業の一環として市内160カ所に「ふれあい・いきいきサロン」を開設していますが、幅広い年代が楽しめると同クラブの協力を得て全サロンに用具を配布。活用されているそうです。

市社福協が高齢者の閉じこもり防止にとモルックを活用

 徹さんによれば、道具があり、10人くらい集まれば楽しめるのがモルックの魅力で、気軽に体験できるのでイベントで人を呼ぶためのツールにもなるとか。桐生市内のイベントでも徹さんが手伝って実施したり、藤岡市や邑楽町などにも出かけたり、子どもを含んだチームを参加条件とした大会を開いたりと、新たな人の交流を生み出しています。これもモルックの特徴であり、魅力のひとつのようです。なにしろ、同クラブみなさんの笑顔と真剣な表情がそれを物語っていました。

モルックを体験

 「記事を書くのだったらプレーしてみなきゃ」との言葉に乗せられ(実は前々からやってみたかった)、シングルマッチで2試合を体験しました。1試合目は距離感がつかめないのに高得点のスキットルをねらいすぎて、3連続ミスで失格。2試合目はスキットルが比較的集まっている場所をねらい得点を重ね、気が付けば43点。コートを見渡すと7の番号が狙える位置に立っていました。みなさんからの「狙え!」の温かい励ましを受けながら、ねらいを定めて投げると「コーン」と乾いた音を立てて命中。なんとウィナーに!気が付けば右手のひらはグー、右ひじと左ひざは直角に曲げたいわゆるガッツポーズを決めていました。当たった瞬間、言葉や文章で表せないほどの爽快感が体を突き抜けました。館林市から来た男性たちではないけれど、はまりそう♪ 入会させてもらおうかな。

お知らせ

 同クラブは9月14日午前9時40分から、足利市大前町の西部多目的運動広場で第5回モルック「りょうもうカップ」を開催。参加費は1チーム2000円で現在募集中。締め切りは9月6日。県内外から上級者が数多く参加しますが、多くの人に楽しんでもらおうと「ビギナーズカップ」も併せて開催。同時に事前予約無しで参加できる無料体験会もあります。

 同大会へのエントリーは「きたごうモルッククラブ」のホームページから。問い合わせはメール(molkky@kitagou-sports.club)で同クラブへ。

取材協力

きたごうモルッククラブ
https://kitagou-sports.club/molkky/