朱印の古墳版「御墳印」をご存じですか? 古墳を訪れた際の記念印としてもらえる(有料)もので、2020年に名古屋市から始まりました。埼玉県行田市では県内自治体と連携して、2023年6月にスタート。早春の一日、行田市内にある14カ所の古墳制覇を目指して、「御墳印」収集の日帰りドライブに出かけました。「古墳なんて興味ないよ」と思っていましたが、旅の最後には、にわか古墳ファンに。そんな「御墳印」の旅を2回に分けてご案内。今回はその前編です。
そもそも御墳印とは? その目的は?
「ぶらっと♪ぎょうだ」を訪ねて
まず古墳とは何かを押さえておきましょう。古墳とは、主に3世紀中ころから7世紀にかけて、有力者や豪族が造った土を高く盛り上げた墓のこと。形や大きさ、副葬品から、埋葬者の権力の大きさをうかがうことができます。
寺社を巡って授かるのがご朱印のように、古墳を巡っていただくのが御墳印です。ここまでは理解できますが、そもそも御墳印ってどこでもらえるの? 古墳には受付のような場所もないだろうし。そんな疑問を解消しようと、行田市の観光物産館「ぶらっと♪ぎょうだ」を訪ねました。桐生からは1時間ちょっと。日帰り観光にはちょうどよい距離です。


応対してくださったのは、行田おもてなし観光局事務局次長の高橋理さん。埼玉県は3000もの古墳がある古墳王国で、県名の由来となった行田市埼玉(さきたま)にある埼玉古墳群が、2020年に県内で初めて国の特別史跡に指定され、古墳観光を盛り上げようと、3年前に御墳印巡りを企画したとのこと。ちなみに日本一古墳が多いのは兵庫県で、その数1万8000基以上。全国には16万基確認されています。
御墳印のある古墳のリストとともに、行田市観光ナビのウェブサイト「御墳印を巡る旅」も紹介していただきました。レンタサイクルで巡るルートが掲載されていますが、今回は日帰りドライブ。レンタサイクル利用時は「ぶらっと♪ぎょうだ」やJR行田駅前観光案内所の利用が便利です。

ちなみに肝心の御墳印は、さきたま古墳公園の観光物産館さきたまテラスや小見真観寺古墳、浅間塚古墳で、訪れた古墳の御墳印を購入する仕組みです。
ぶらっと♪ぎょうだ
行田市忍二丁目1番8号
048・554・1036
(9時半~17時/年末年始のみ定休)
御墳印完全制覇ドライブスタート
まずは点在する5カ所の古墳から
同施設でのレクチャーを終え、10時にスタート。観光ナビでは、まず市内に点在する5カ所を巡った後、残る9カ所が集まるさきたま古墳公園で計14カ所を制覇し、御墳印は観光物産館さきたまテラスで14枚購入するルートが紹介されています。
①小見真観寺古墳

まずは1カ所目、国指定史跡、小見真観寺(おみしんかんじ)古墳です。「ぶらっと♪ぎょうだ」から4㌔、10分ほど。真言宗真観寺の境内にあります。境内はきれいに掃き清められていて、とてもすがすがしい気分、旅気分が盛り上がります。駐車場も十数台分ありました。
古墳は本堂裏手、墳の頂上まで階段で上ることができます。階段向かって右手には、横穴式の石室があり、中に入って見学できました。

小見真観寺古墳
行田市小見1124 真観寺
【データ】
6世紀末、前方後円墳、墳丘長102㍍、高さ8㍍
②地蔵塚古墳

2カ所目は地蔵塚(じぞうづか)古墳。真観寺からは2㌔、5分。住宅街の一角にありました。見た目は盛り土された、小高い丘のような感じです。
墳頂へ続く階段を上ると、こぢんまりとした地蔵堂が安置されていました。名称の由来なんですね。最大の特徴は石室内に烏帽子(えぼし)をかぶった人物や弓を引く人物、馬や水鳥、家と思われるものが描かれていることだそうです。葬られた人物の生前の姿かもしれませんね。

地蔵塚古墳
行田市藤原町2-28-1
【データ】
7世紀中葉、方墳、一辺28㍍
③八幡山古墳
3カ所目は八幡山(はちまんやま)古墳。地蔵塚古墳からは700㍍、2分。周囲を工場や住宅に囲まれています。駐車場は道を挟んで6台分ほど用意されています。

公園内に一歩足を踏み入れると、あらまあ、ここは奈良県明日香村の石舞台古墳かと見まごうビジュアル。全長16㍍にも及ぶ巨石が階段状に積み上げられ、まるで「関東の石舞台」のよう。かなりの権力者が葬られているのでしょうね。桐生のこんな近くに、すごい古墳があるなんて、目を洗われる思いです。

八幡山古墳
行田市藤原町1-27-2
【データ】
7世紀前半、円墳、径約80㍍
④真名板高山古墳
4カ所目は真名板高山(まないたたかやま)古墳。八幡山古墳から5㌔、10分弱。真言宗の寺院、花蔵院の跡地にありました。現在は山門と薬師堂を残すのみ。駐車場は十分に確保されています。

古墳は薬師堂の向かって左手にあり、樹木がこんもりと茂った丘のような感じです。境内には樹齢700年と思われる、3本のイチョウや力石、板卒塔婆などが残っていました。明治維新時に廃寺になるまでのにぎわいがしのばれます。

真名板高山古墳
行田市真名板1532
【データ】
6世紀後半、前方後円墳、推定墳丘長約127㍍
⑤浅間塚古墳
5カ所目は浅間塚(せんげづか)古墳。真名板高山古墳から5㌔、10分弱。前玉(さきたま)神社境内にありました。グーグルマップでは浅間塚古墳ではなく、前玉神社駐車場と検索するとスムーズに到着できます。浅間塚古墳検索では駐車場に案内されませんので、ご注意を。

階段を上った墳頂には前玉神社、中腹には浅間社が鎮座。同神社で飼われている猫が評判で、絵馬も猫形。ニャンニャンの日(22日)限定の猫のご朱印が人気だとか。訪れた日には花手水の準備が行われていました。
浅間塚古墳
行田市大字埼玉5450
【データ】
7世紀前半、円墳、直径58㍍
ちょっと寄り道♪
いがまんじゅうとは/行田銘菓をお土産に
市内に点在する5カ所の古墳は浅間塚古墳で制覇。次からは後編、残り9カ所がまとまる埼玉古墳群へ。さきたま古墳公園の駐車場までは浅間塚古墳から約500㍍、車で1分。その前に行田銘菓をお土産に購入しました。
前玉神社参道横に店を構える金沢製菓さん。ガラス戸にはられた「いがまんじゅう」の文字に引きこまれるように店内へ。いがまんじゅうとは何ぞや? 創業安政5年(1858年)、現在6代目という店主の金沢優(かなざわ・まさる)さんにお聞きしました。

さて、その「いがまんじゅう」。見た目はまんじゅうに赤飯をまぶしたもの。赤飯が栗のいがのように見えることから、そう呼ばれるようになったとか。赤飯のもち米が高価なため、まんじゅうでかさを大きくみせたようです。北埼玉地方の食文化で、全国郷土料理百選にも選ばれているんだとか。同店のいがまんじゅうはこしあんとつぶあんがあり、どちらも1個200円。この日は、しょっぱい大福の塩あんぴん(1個250円)、ねこもなか(1個200円)を購入。帰宅後自宅でいただきました。いずれも大変美味、ごちそうさま!

金沢製菓
行田市埼玉5288
048・559・1663
8時~16時。月曜定休。
駐車場は店横に5、6台。




