過去の桐生タイムス紙面から、気になる記事を紹介する「わたらせさん、時をかける」さて今回は、何年前に「時をかける」?


 スマートフォンがまだ普及していなかった2003年、「電報」を使った詐欺が報じられました。送り主不明の文面には、不安をあおる言葉が並び、受け取った人は驚きとともに戸惑ったといいます。

 結婚式や訃報など、特別な場面に使われていた電報が、まさか詐欺に利用されるとは—。この記事を見てとても驚きました。

 当時は、はがきや電話で「支払わなければ法的措置をとる」といった請求が届くこともあり、不安を感じた人も少なくなかったようです。電報という正式な手段を使うことで、本物の通知のように見せかける手口だったのかもしれません。

 令和の今でも電報は、結婚式やお悔やみ、ビジネスシーンなど、節目の場面で使われており、プリザーブドフラワーやぬいぐるみ付きの〝デザイン電報〟も人気です。オンラインで簡単に申し込めるようになった一方で、「電報って何?」という若い世代も増えてきました。そんな時代だからこそ、珍しさや格式を感じて利用する人もいるようです。

 通信手段が変わっても、だまそうとする人間の手口は形を変えて今も続いています。過去の〝アナログ詐欺〟に学び、現代の〝デジタル詐欺〟にも備える—。そんな視点も大切なのかもしれません。