被害者支援センターすてっぷぐんま(前橋市)が企画
星野富弘さんの詩から楽曲制作しCD化 被害者支援ソングに
4月に高齢者サロンのコンサート内で発表
昨年4月に亡くなった詩画作家・星野富弘さん(享年78)の詩「ニセアカシア」に曲がつけられCD化、4月に前橋市内の高齢者サロンのコンサート内で発表会が行われた。CDは非売品で被害者支援センターすてっぷぐんま(前橋市)の企画によるもの。3000枚が製作され今後、被害者支援ソングとしてイベントや広報活動で配布される予定だ。
「何のために 生きているのだろう 何を喜びとしたら よいのだろう これからどうなるのだろう」—。
「ニセアカシア」は頸髄(けいずい)を損傷した星野さんが約9年間の入院生活を終え妻の昌子さんと結婚した直後の1981年に詠まれた作品だ。不安な気持ちを吐露しつつも「あなた」が置いてくれたありのままに咲く一枝の花の美しさも描かれている。
同センターは約15年前に詩のフレーズが犯罪や事故の被害に苦しむ人が口にする言葉と同じで感情を否定せず寄り添う活動の趣旨と合致することから、星野さんの協力をえて、この詩と画のクリアファイルを製作、広報啓発用に使ってきた。
楽曲は2018年に被害者支援ソング第1弾「明日はきっといい日」を作詞、作曲し活動に協力するシャンソン歌手のMIKAKOさん(東京都)によるもの。19年に星野さんに楽曲化を希望し許可をもらい、メロディーを付けてコンサートなどで披露してきた。
今回、同センターの岡正雄理事が「一周忌を迎える星野さんへの感謝と節目の年に形として残したい」と、CD化を昌子さんに相談し快諾され実現の運びとなった。CDジャケットにはこの詩と画がデザインされ、すてっぷぐんまの活動内容や連絡先が記されている。
発表会では県警音楽隊のOBでつくる「ひまわり楽団」の演奏に乗せ、MIKAKOさんが星野さんの言葉を美しく清らかに歌い上げ会場を包み込んだ。事前に自宅を訪れ昌子さんに完成したCDを手渡したMIKAKOさんは「たいへん喜んでいただき、いろいろとお話もできた」と話し、「心に染み入ってくるような詩でこれまで反応もよかった楽曲なのでこれからも大切に歌っていきたい。CDをきっかけにすてっぷぐんまの存在を知ってもらえれば」と続けた。