母との電話の締めくくりは、いつもこうでした。

「修、あと一口食べたいと思うところでやめておけよ」

 母は、長らく糖尿病を病んでいました。そのため、息子の私には自分と同じ轍を踏ませたくないという思いが強かったのだと思います。

「母ちゃん、そのあと一口が美味いんだよ。」

 私は、いつも言い返していました。そんな母もなくなって7年余が経ちます。時々、母に無性に会いたくなる気分になります。何の親孝行もできなかった、という自責の念と共に。

 スーパーの店頭にはカーネーションが売られています。

 もうすぐ「母の日」が来ます。