群馬県教育委員会が発表した2025年度の第2回進路希望調査(12月1日)では、公立高校63校のうち40校が定員割れとなり、県全体の志願倍率は0.97倍と初めて1倍を割り込んだ。私立高校授業料無償化や少子化、不登校の増加などが重なり、進路選択の多様化が進む高校入試の実情を分析した。
(2025年12月24日付「みんなの学校新聞」記事から)
進学希望先に変化
私立志望が増え、公立は減少傾向
県教委が昨年12月17日に発表した第2回進路希望調査によると、県内公立高校63校のうち40校が定員割れとなり、前年同時期より2校増えた。定員割れの割合は63.5%と過去最高を更新。県全体の志願倍率は0.97倍で、現行の調査方式となった2006年度(平成18年度)以降、最も低い水準となった。

無償化をきっかけに見え始めた「公立離れ」
県教委はその背景について、「私立高校の授業料無償化の影響や少子化など、複合的な要因がある」と分析している。
実際、2022年度(令和4年度)以降の中学卒業予定者の進学希望先を見ると、公立高校志望者は減少傾向にあるが、2025年度(令和7年度)は特に下落幅が大きい。一方、県内私立高校の志望者は2024年度(令和6年度)に一度落ち込んだものの、2025年度(令和7年度)は1.9㌽上昇した。割合は小さいものの、県外の国公私立高校を志望する生徒も年々増えている。
「公立離れ」という言葉は以前から使われてきたが、群馬県では2024年度(令和6年度)までは顕著な傾向は見られなかった。ただ、私立高校の授業料無償化が本格的に打ち出された今年度は、その影響を受け、公立高校離れがやや進んだ形だ。

不登校の増加と進路の多様化 通信制高校を選ぶ生徒も
不登校児童生徒の増加も要因の一つとみられる。2024年度(令和6年度)の県内の不登校児童生徒数は4788人(うち公立小中学校は4731人)で、過去最多を更新した。前年度比の増加率は0.2%と全国平均2.2%を下回るものの、2019年度(令和元年度)と比べるとほぼ2倍に増えている。こうした状況を背景に、広域通信制高校などを進学先として選ぶ生徒も増加している。県内の学習塾関係者は「最近では不登校だけでなく、自分のやりたい活動と両立しやすいという理由で通信制高校を選ぶ生徒も増えてきた」と話す。
公立高校も魅力発信 「顔の見える学校づくり」進む
一方、公立高校側も中学生に学校の魅力を伝えようと工夫を重ねている。入学案内をカラフルなデザインに刷新したり、公式インスタグラムを開設して情報発信を強化したりする学校も増えてきた。広報面だけでなく、特色あるカリキュラムを打ち出し、「顔の見える学校づくり」に力を入れる動きも広がっている。非認知能力の育成を目指すSAH事業や、地域企業と連携した専門学科高校の取り組みなど、独自色を前面に出す学校もある。
倍率に地域差 流入超過の桐生、県外流出目立つ太田・館林
県全体の倍率は1倍を下回ったものの、地区別に見ると状況は一様ではない。
高崎市や前橋市などの都市部では、エリア全体の倍率は比較的高い水準を保っている。人口減少が進む桐生地区で地区全体の倍率が1倍を超えたのは、周辺地域からの流入が多いため。
県教委が2025年10月と11月に県内8地区で実施した「県立高校の在り方に関する地区別情報交換会」。そこで示された資料によると、2025年3月中学校卒業者の進学先では、桐生市内の公立高校は前橋市、太田市、伊勢崎市などからの流入が358人に上り、流出の107人を大きく上回る「流入超過」となっている。
一方、太田・館林地区では県外高校への流出が目立つ。2025年3月中学校卒業者で見ると、太田地区では16%、館林・邑楽地区では22.2%が県外の高校へ進学しており、県全体の約6%を大きく上回っている。

「1倍を割ったからといって、入試自体が易しくなるわけではない」と前出の学習塾関係者。「倍率に惑わされず、しっかり準備をすすめてほしい」と受験生にエールを送る。
(編集部)
本記事は「みんなの学校新聞」で読むことができます。
https://np-schools.com/news/16813
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