私は小さな和雑貨の店を営ませていただいております。

 ろくな経験もなく、何もわからずに勢いだけで飛び込んでしまいましたが、友人や仲間に支えられて今年の一月一日に何とか一周年を迎えることができました。

 何よりお店をお訪ねくださいましたお一人お一人のお客様、皆さまがおいでくださったからこそと深く感謝しております。

 おかげさまで、たくさんのお客様とお話しさせていただく機会を得ました。

 そんな中でも子育てリアルタイムのお客様が割と多くおいでになりました。皆さま口をそろえて「大変」「キツイ」「しんどい」とおっしゃっておられました。今風にいうと『待って、ムリ、しんどい』といったところでしょうか?

 そのお気持ち痛いほど分かるのです。

 私も子育てリアルタイムの時がありました。

 赤子の時、幼児の時、子供の時、その時その時でしんどさが変わっていきます。

 そして子育ては孤独です。夫、両親、義両親、親戚、友人、子育てを支えてくれる人は身の回りにたくさんいます。赤の他人様から行政まで見守ってくれます。

 なのですが孤独なのです。それは母だからなのです。わが子と常に向き合っているのです、その母と子の間には何物も入り込める隙間が無いのです。

 だからこそ何物にも替えがたいのだと思っております。

 ただ、その最中にいれば何を誰に言われようとも分かりません。かたくなになってしまいますよね。

 ですので子育てリアルタイムで「しんどいー」と言ってくださるお客様には『子育ては必ず終わります』と自信を持って言います。

 私にとっての終わりはある日突然でした。

 倅(せがれ)が自動車の運転免許を取り運転し始めた頃、自分が左にいて倅が右側で運転しているのです。

 まじまじと運転する倅を眺め、子育て、終わった…としみじみしました。

 ちょっと寂しい気がしたものでした。

 そして気が付くといつの間にか倅にいたわられて、しまいに怒られているのです。

 「なんと楽しいことか」と笑ってしまいました。

 いつか秩父神社に行きました時に境内で見つけた言葉をご紹介します。

親の心得
 赤子には肌を離すな
 幼児には手を離すな
 子供には目を離すな
 若者には心を離すな

 大丈夫、子育ては必ず終わります。

 なんてったってあなたは唯一無二の母なのだから!!

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