昭和40年の開園から今年60周年(開園も巳〈み〉年だったのですね)のジャパン・スネークセンターは藪塚にある、ちょっと珍しいヘビ専門の動物園です。でも、それだけではない、かなりすごいところらしい…。ということでジャパン・スネークセンターに行ってきました!

※情報は発行時点のものです。最新情報は施設にお問い合わせください

いざ、ジャパン・スネークセンターへ

 個人的に小学生以来(四十数年前)のお久しぶり。印象は正直、「観光地なのか?」。わざとじゃないレトロ感。観光客はいるのか? 心配気味に研究員の堺さんに聞いてみると「以前は会社などの団体旅行者が多かったのですがそういったものも少なくなって、最近は結構、若い女性が友人とだったり一人でも来たりしていますよ。若い女子にヘビ好きが多いようですね」とのこと。「本当かな?」ちょっと疑惑…。

昭和感ただよう入園口

 園内は広大な敷地に三つの温室と3種の蛇エリア、資料館、採毒室などがあり、40種類以上、約200匹のヘビを展示しています。

 採毒実演やヘビとのふれあいや記念撮影など、ここならではのイベントも満載。今年は巳年のため、年賀状などの撮影用に昨年の年末は特に忙しかったそうです。さらに大みそかから元日にかけ「年越し開園&白蛇まつり」を開催。白蛇さんたちもがんばりました。


施設めぐり

◎毒蛇温室

 世界の毒蛇を中心に飼育展示。ガラガラヘビやキングコブラがいます。壁に貼られている「ヘビを興奮させないでください」という警告文が私をまたおびえさせます。

◎大蛇温室

 2~4メートルほどの中~大型のヘビが展示されています。日本でここにしかいないインドニシキヘビや白変種のアミメニシキヘビなど珍しいヘビがいます。間近で見ると想像以上に大きい!

脱皮前の状態

◎熱帯蛇類温室

 熱帯地域にすむ4メートルのオオアナコンダや5メートルのビルマニシキヘビがいます。
 日曜・祝日には大蛇や白蛇、カラフルなニシキヘビなどを指名して撮影 できる「ヘビとの記念撮影」(10時半~・16時~、有料)を開催。首に巻いて、手で持って、見つめあって…。ポーズはそれぞれ。普段はガラス越しでしか見ることができない迫力ある生のヘビを存分に堪能できます。
※ヘビの体調や季節によって、出る種類や数、金額が変動します。

記念撮影はここで

◎シマヘビ放飼場

 ヘビたちが自然の状態で放し飼いされているそうですが、冬場は冬眠中で姿を見ることはできませんでした。

◎資料館

 ヘビの剥製や骨格標本などヘビに関するさまざまな資料を展示しています。
 大蛇の骨格などは、「へぇー!こうなっているのか!!」と感動してしまいました。

◎採毒室

 土・日・祝日には採毒実演(1日1回)を見ることができます。また、ヘビとのふれあい(1日2回20分程度)もこちらで。決められた時間の開催なのでホームページでチェックしてから出かけてください。

◎売店

 お薦めはジャパン・スネークセンターオリジナル商品(日本蛇族学術研究所完全監修)のガボンアダーのぬいぐるみ(3900円)。ここでしか購入できない商品です。
 ほかに財布やバッグなどの蛇革製品や白蛇観音のお守り、キーホルダー、ヘビステッカーなども人気です。藪塚生まれの健康酒「陶陶酒(とうとうしゅ)」もあります。

◎白蛇観音

 家内安全・無病息災・交通安全はもちろん、研究のために犠牲になった蛇類を供養するために建てられた白蛇観音。〝はくだかんのん〟と読むそうです。観音様の足元に大蛇が巻き付き頭を上げています。高台にあるので山の景色を楽しみながら坂を上っていきましょう。
 平日でも園内には観光客の姿がちらほら。しかも若い女子たち、カップルも。話を聞くと「彼女がヘビ好きで」とか「この昭和レトロ感がたまらない」など好意的な感想が。うそじゃなかったのですね、堺さん。東京、埼玉から来たという皆さん、ここの来園がメインのお出かけでした。


公開されている研究所として

 ジャパン・スネークセンターをテーマパーク的なものとして認識していた私としては考えを改めました。ここは公開されている研究所という感じです。
 飼育、展示以外のお仕事もたくさんあります。

◎蛇の販売

 毎年秋頃から飼育しやすい種類の蛇を販売しています。繁殖状況に応じてその年ごとに販売数も変わるため、興味のある方はホームページなどでチェックしてください。
 研究員の堺さんによると蛇は「餌もたまに与えればよく、そのため排せつが少なく臭いもなく毛も抜けず、とても飼いやすい生き物」だそうです。

◎研究

 生態、繁殖、行動などヘビのあらゆることを観察・研究しています。毒蛇咬(こう)傷の分野でも活躍しており、ヤマカガシの抗毒素血清の製造にも深くかかわっています。また、ハブやマムシの毒を採取し、抗毒素血清製造のために製薬会社に供給しています。

二つの頭を持った蛇の剥製

◎出版物の執筆・撮影・監修

 昨年12月に小学館から出版されたばかりの「ヘビ学~毒・鱗・脱皮・動きの秘密」は大人も楽しめる読み物となっています。著者はジャパンスネークセンターの研究員4人。それぞれの得意分野に分かれ、さまざまな角度からヘビについて解説しています。また、昨年6月に出版された「日本ヘビ類大全」の毒蛇咬傷の項を執筆。今までにないヘビの生態写真が多く、好評を得ています。
 そのほか、救急医学や日本医事新報、中毒研究などの医療関係者向け雑誌で、毒蛇咬傷について解説。子供向けの図鑑などの執筆・撮影・監修なども行っています。

小学館からの新刊です

◎講演

 毒ヘビのマムシは意外に身近にいます。毎年数千人の受傷者があり、数人が生命に関わる状態になっています。「ヘビに咬(か)まれた!」こんなとき、専門医がどこでもいるわけではありません。そのため、毒蛇咬傷について病院などで講演をします。どこでどんなヘビに咬まれどのような症状が出るのか。その処置について病理的な役割も担っています。
 学校でも「ヘビや有毒生物について」の勉強会を行っています。最近、県内でも確認されているセアカゴケグモなどの情報や知識も得ることができます。


【情報】

入園料/大人1000円・子供(4歳以上小学生まで)500円
休園日/毎週金曜日(多客期除く)
時 間/9時~17時(11月~2月は16時半まで)

【取材協力】

一般財団法人 日本蛇族学術研究所/群馬県太田市藪塚町3318☎0277・78・5193


◆編集後記◆

ヘビに関する事件や事故がおきたときに電話出演で解説していたのをテレビで見たことがあります。「すごいな。ヘビセンター」と思っていましたが本当にすごいところでした。なのに主となる収入源は入園料だそうで…。国や自治体はこういった施設を支えてはくれないのか…と考えさせられました。