「動く瞑想」で心をほぐす/今日からはじめるヨガのセルフケア
ヨガが心にもいいらしいと知り、文教大学人間科学部教授の吉田悟氏にお話をうかがいました。
情報に追われる毎日、ふと気づけば心は過去の後悔や未来の不安にとらわれています。「心ここにあらず」の状態が幸福感を損なうことは、研究でも指摘されています。そんな心を「今、ここ」に取り戻す方法として注目されるのが「マインドフルネス」です。善し悪しを判断せず、ただ今この瞬間に意識を向ける。それだけのシンプルな心のあり方なのです。

ヨガは「動く瞑想」/科学が裏づける心への効果
このマインドフルネスを、実際に体験できるのが「ヨガ」です。
単なるストレッチではなく「動く瞑想」と呼ばれる理由は、その本質にあります。静かに自分を見つめる「瞑想」、心と体をつなぐ「呼吸法」、呼吸と動きを連動させる「ポーズ」、そして深くくつろぐ「リラクゼーション」。これら四つの要素が一体となって、私たちの心身を深く調和させてくれます。
近年、ヨガの心理的効果は科学的にも証明されてきました。うつ病や不安、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの症状を和らげる効果が、多くの研究で報告されています。呼吸法やポーズが自律神経のバランスを整え、ストレスホルモンを減少させるからです。欧米では精神科治療にも取り入れられ、カウンセリングと並ぶ有効な療法として認められています。
ヨガにはさまざまなスタイルがあります。私が実践する「クリパルヨガ」は「気づきのヨガ」とも言われ、ポーズの完成度よりも、今この瞬間の自分の内側に「気づく」ことを何より大切にします。体が硬くても、運動が久しぶりでも、まったく問題ありません。
国も推奨する心と体のセルフケア
こうした効果は国も認めるところです。厚生労働省の「こころの耳」では、セルフケアの方法としてヨガが紹介され、専門家監修の無料動画も公開されています。悩みを頭だけで解決しようとしがちですが、昔から「心身一如」と言うように、心と体は切り離せません。体を動かし呼吸を整えることで、思考を無理に変えようとしなくても、心は自然と穏やかになっていきます。
今日から始める小さな一歩
ヨガは決して特別なものではありません。誰もができる、自分へのいたわりです。大切なのはポーズを美しく決めることではなく、呼吸や体の感覚に意識を向け、今の自分の状態にただ優しく気づいてあげること。その優しいまなざしが、心を癒やす力になります。
まずは椅子に座ったまま、ゆっくり目を閉じて深呼吸を3回してみてください。「吸って…吐いて…」。呼吸に意識を向けるだけで、それはもうヨガです。その心地よさが、健やかな毎日への確かな第一歩になるはずです。
寝る前5分のやさしいヨガ/体をほぐして、明日も軽やかに
「運動不足だけど、時間がない…」そんな方にぴったりの〝寝る前5分ヨガ〟を、ヨガ教室〈ココクルン〉講師・きよさんに教えていただきました。一日の疲れをやさしくほぐし、首や肩のこりを改善しながら心身をリセット。首のこりをほぐすと枕がフィットしやすくなります。枕を替える前に試してみては。からだが硬くても大丈夫。布団の上でできる簡単なポーズばかりなので、ヨガが初めての方にもおすすめです。ぐっすり眠れる夜を目指して、今日から少しずつ始めてみませんか。

まずは座位(安楽座)。かかとを体の中心に並べ腰をたてます。無理に足を体につける必要はなく、腰がたちにくい人はお尻の下にクッションを敷くなどしてもいいでしょう。
①肩を上にあげ大きく回します。後ろへ5回、前へ5回。肩をほぐします。

②首を前へ倒し、あごを両肩につけるイメージで呼吸に合わせ、左右にゆっくり8回振ります。頭の軸は動かさないように。


③首を倒しあごが右肩側にある状態で左手を少し上げ、後ろへ伸ばします。痛くなく、首・肩が伸びて気持ちいいところで止め大きく深呼吸を繰り返します。反対も同様に行いましょう。

④横になり両手は広げ、膝を立てます。上半身はそのまま、膝をそろえてゆっくり左右に倒します。肩、腰、膝が一直線になるように意識して、脇腹と腰が伸びるのを感じましょう。



⑤姿勢をまっすぐに戻し、右足の膝を曲げてあげます。股関節を意識しながら外回しに大きくゆっくり5回、内回しに5回動かします。左足も同様に。



⑥右膝を左手で押しながら左に倒します。そのままゆっくり腹式呼吸で5呼吸程度キープ。反対も同様に。腰痛の緩和やおなかの引き締めに。便秘にも効果あり。

⑦手のひらを頭の上で合わせます。足のつま先もピーンとさせ、上下に伸び、ゆっくり5回深い呼吸を繰り返します。

⑧手足を軽く開きます。腕は体から離し、手のひらは上にして全身の力を抜きリラックスします。呼吸に集中します。
シャバーサナと呼ばれ、ストレス軽減、自律神経を整える効果が期待できます。

■注意すること
〇他人と比べない
人の体は千差万別。講師のようにしなければ、皆できているからなどとは考えず、効果のある部位に効いているかどうかで判断しましょう。比べるのは過去の自分とです。
〇無理をしない
体の不調がある人やあるとき、痛い場合は無理をせず気持ちいいところでやめましょう。
〇ヨガの前後1時間は食事をしない
ヨガの前に食べるとおなかが圧迫され苦しくなります。ヨガ後は吸収力がアップしています。どうしてもおなかがすいてしまったら時間をあけてカロリーを考えて摂取しましょう。
〇姿勢が大事
普段の生活でも背筋を伸ばし、腰をそらしすぎない正しい姿勢を心がけましょう。
美姿勢スタジオ・ココクルン
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