過去の桐生タイムス紙面から、気になる記事を紹介する「わたらせさん、時をかける」
今回は、2000年6月10日桐生タイムス紙面から「時をかける」!


 今から25年前、2000年6月10日の紙面を覚えている方はいらっしゃるでしょうか。市内東七丁目に現れた〝珍客〟—カルガモの親子にまつわる、ほほえましいエピソードが掲載されました。

 タイトルは『カルガモ親子 大冒険』。舞台は清水町児童公園付近。親ガモ1羽とヒナ7羽のかわいらしい行列が、静かな住宅街に現れ、地域の人々を驚かせました。

 彼らの目的地は桐生川。空から観察して町なかを選んだようですが、途中には交通量の多い道路という難所が。

 しかし地域の力は見事でした。通行人や運転手が自然と車を止めて〝交通整理〟。頼まれたわけでもなく、皆が当たり前のように親子を守りました。

 無事に道路を越えた後も、今度は民家の敷地に入り込み番犬にほえられ、ガレージへ避難。土手の向こうが川なのに…。それを見た男性が網を持って登場し、ヒナたちを優しく誘導。

 そしてついに、親子は川へ飛び込み、やや速い流れの中を元気に泳ぎ出しました。見守っていた人々からは拍手と笑顔。「元気に育ってほしいね」と声が上がりました。

 あの日の紙面を読み返しながら、「人のあたたかさ」「地域の力」を、今あらためて思い出したい—そんな出来事でした。