七つそろうと願うがかなう―。県内の七つの神社を巡り、神様の力が宿るという神玉(かみたま)を集めてみませんか。巡拝の途中に、観光を楽しむもよし、その土地ならではのグルメに舌鼓を打つのもよし。神玉巡拝は群馬の魅力再発見でもあるんです。そんな魅力あふれた上州神玉巡りを2回に分けご紹介。今回はその前編です。
【前口上】巡拝決心まで
ある日のこと。会社帰りに立ち寄った書店で、平台に置かれた、黛まどかさんの『私の同行二人』が目に留まりました。四国遍路の紀行文ですが(全行程1600㌔余りを何と歩いて! それも2回目!!)、書き出しの一文と見目麗しい著者の写真に引かれて、即購入。一気読みでした。「行ってみたいなぁ」と思いながらも、「四国かぁ、遠いなぁ」と二の足を踏みつつも、思いは募るばかり。
そんな折、取材帰りに立ち寄った前橋東照宮で何気なく手に取った「上州神社巡り~神玉巡り」の小冊子。神玉という聞きなれない言葉、「神主さんおすすめスポット」というキャッチーなコピーも躍っています。
巡る神社は七つ。北は沼田市、西は下仁田町、地元からは貴船神社も参加しています。歩きではとても無理だけれど、車なら2日もあれば回れそうです。四国遍路に後ろ髪を引かれつつも、まずは上州神玉巡拝をと、神玉巡拝コンプリートを目指し、ドライブを決意しました。結果、大願成就はともかく、巡拝は、地元群馬の魅力再発見の旅でもありました。
どう回る? 巡拝ルート選定
趣味の一環として巡拝するなら、どの順番でどう回ろうと自由ですが、今回は締め切りのあるわたらせ企画、できうる限り短期間で制覇するのが目標です。事実、くだんの小冊子にも「2日間くらいで巡るのが目安です」とあります。
神社の対応時間は午前9時〜がほとんどなので桐生を起点にほぼ時計回りで午前9時①伊勢崎神社(伊勢崎市)到着を目指し、その後②進雄神社(高崎市)→③富士浅間神社(藤岡市)→④中之嶽神社(下仁田町)→⑤榛名神社(沼田市)→⑥貴船神社(みどり市)→⑦前橋東照宮(前橋市)と巡拝することにしました。ただし、午後5時のタイムアウトまで、回りきれる神社で初日は終了です。
上州神玉巡り スタート!
①授与品は伊勢崎銘仙で【伊勢崎神社(伊勢崎市)】
上州神玉巡拝のスタート。ただし、仏滅は対応不可の神社がありますので、避けましょう。
まずは、桐生タイムス社を午前8時30分に出発し、伊勢崎神社へ。午前9時10分、到着。伊勢崎神社は市街地の一角にありました。
神社は現在改修工事中。完成は今秋10月の予定です。緻密な彫刻が壮麗な社殿を参拝後、仮設の社務所で神玉、コラボご朱印をいただきました。禰宜(ねぎ)の齋藤宏平さんは「全国で行われている神玉巡りの中では群馬県は巡拝数が多い方です」と話してくれました。
授与品はかつて栄えた絹織物「伊勢崎銘仙」をアップサイクルしたお守り袋やご朱印帳。二つとして同じものがない、ポップなデザインと絹の肌触りが楽しめます。
伊勢崎銘仙に興味がわいたら、神社の北、徒歩5分ほどにある「いせさき明治館」に行ってみましょう。明治45(1912)年に建てられた県内最古の木造洋風医院建築で、館内では季節に合わせた伊勢崎銘仙を常時展示しています。銘仙の生地を使用した、手作りのアクセサリーやお土産も販売していますよ。
神玉は中島飛行機(現SUBARU)が奉納した飛行機のプロペラが描かれています。渡航安全のシンボルだそう。
伊勢崎神社
伊勢崎市本町21-1
0270・25・0542
対応時間/午前9時~午後4時30分。仏滅休業。駐車場20台。
②シロクジャクが神苑を闊歩(かっぽ)【進雄(すさのお)神社(高崎市)】
午前9時50分、伊勢崎神社発。次の目的地は高崎市の進雄神社。国道354号に出て、高崎方面に向かいます。途中、道の駅玉村宿でトイレ休憩。先ごろ、日本で1店舗となったコールド・ストーンの自販機を発見。他にも、焼き鳥やギョーザの冷凍自販機や犬用おやつの自販機も。店内では玉村宿名物、軍配山ラーメンなるものも。時間さえ許せば、ここでティータイム、ランチもいいですね。
午前10時半、進雄神社に到着。神社の裏手が国道に接しています。正面に回ると、緑豊かな境内が広がります。参道、手水舎(ちょうずや)の周辺にはどんぐりや松ぼっくりでハート形にし、花を添えた、心温まる創作物が迎えてくれました。気持ちがほんわかしますね。
平成3年に新築された社殿は、総ヒノキ、権現造り。ご神徳があるとされる、厄よけ・健康守護を願い参拝。社殿左手にある社務所で神玉、コラボご朱印をいただきました。
そうそう、シロクジャクも必見です。社務所隣のロビーを抜け、神苑(しんえん)に向かいます。神社の祭神と縁のあるインドクジャクの白変種で、神社や参拝者を守る神鳥として飼育しているとか。白一色の飾り羽を広げた、その姿の美しさに圧倒されました。通常のインドクジャクとの競演も見事です。
神玉はクジャクが羽を広げた姿がモチーフのデザインです。
進雄神社
高崎市柴崎町801
027・352・1839
対応時間/午前9時~午後5時、平日仏滅午後3時まで。駐車場80台。
③ふじおか地名発祥の神社【富士浅間神社(藤岡市)】
シロクジャクに見とれ、ちょっと押し気味です。午前10時55分、進雄神社をたち、藤岡市の富士浅間神社に向かいます。
午前中の対応は11時30分まで。午後は1時30分からなので、1時間ほど時間が空いてしまいます。ランチで過ごす手もありますが、今日は回れるだけ回ることにしているので、気がせきます。
ナビによると、到着予定は11時30分ジャスト。信号1回待ちでアウトです。おそるおそる神社に電話してみることに。「11時30分ちょっと過ぎそうなんですが、神玉いただけますか」「お待ちしております。気を付けてお越しください」とありがたいお言葉。
11時35分、神社着。参拝前ですが、神玉とコラボご朱印をいただきました。社殿は広い駐車場の一角、小高い丘の上に鎮座していました。ご神体は富士山。「古事記」の逸話から、子どもの守り神として知られています。
境内には、江戸時代後期の絵巻に描かれた松がそのままの姿で立っていました。悠久の時の流れを感じます。神社周辺が神社にちなんで富士岡と呼ばれていたことから、藤岡となったそうです。
神玉は富士山、桜、松をあしらった意匠です。
藤岡市に来ると、以前わたらせ特集紙面(2022年11月5日号)でもご紹介した成田屋の「たまごまんじゅう」が無性に食べたくなります。しょうゆで味付けしたゆでたまごをほんのり甘い皮で包んだまんじゅうです。ぜひ、味わってみてください。
富士浅間神社
藤岡市藤岡1152
0274・22・2597
対応時間/午前9時30分~同11時30分、午後1時30分~同5時、仏滅・お盆期間休業。駐車場100台。
ここでちょっと中休み/昭和レトロなドライブインで休憩。古墳公園散策もあり
午前11時50分、下仁田町の中之嶽神社に向け出発。神社までは約40㌔、70分ほど。途中、県道174号バイパス沿いに昭和レトロなドライブインとして、たびたびメディアで紹介されている「ドライブイン七輿(ななこし)」の看板を発見。店は旧道沿いにありました。ここでちょっと休憩することに。
店内には、麺類のほかにトースト、ハンバーガー、カップヌードルの自販機もありました。どれも懐かしいものばかり。ちなみに天ぷらうどんは350円、天ぷらそばは400円。先客が一人、おいしそうにうどんをすすっていました。つゆの香りが店内に広がり、空腹にはこたえます。
近くには、6世紀前半に造られた前方後円墳の七輿山古墳があり、付近は郷土博物館を併設した公園として整備されていました。ちなみに、七輿山古墳は前方後円墳としては東日本最大級らしいですよ。ドライブイン七輿で食事して、古墳のある公園を散策する、そんな休日もいいかも。
周辺には、無料で楽しめる、めんたいパーク、こんにゃくパークと見どころ盛りだくさんです。
ここまでで前編終了
紙面の都合上、ここまでで前編終了。後編では残りの4社と、上州神玉実行委員会事務局で聞いた「上州神玉巡り」全体の魅力もお伝えします。
果たして1日で無事巡りきれるのかー。後編を楽しみにお待ちください♪
【後編は7月12日号です】