
背伸びをするかのように、水面から大空へ向かって大輪の花を咲かせるハス。7月中旬から8月にかけて、県内各地で見ごろを迎えます。館林市の城沼(じょうぬま)では、7月10日から花ハスまつりが始まり、名物の「花ハス遊覧船」が運航スタート。その様子をバーチャル実況中継でお届けします。2面では県内のハスの名所もご紹介。観賞に最適な時間帯は早朝から昼ごろまで。さあ、早起きして、バス旅ならぬハス旅に出かけましょう(掲載画像は過去のものもあります)。
花ハスの名所・館林城沼へ
船上から楽しむ夏の絶景
館林市のつつじが岡公園に隣接する花ハスの名所・城沼では、7月10日から8月31日まで、花ハスまつりに合わせて「花ハス遊覧船」が運航されます。ハスの群生の中を進みながら観賞できる、日本でも数少ない遊覧船です。昨年は約1カ月半で6470人が利用した人気イベント。今回はまだ開催前なので、館林市経済部つつじのまち観光課の新井貴大さんに魅力を聞き、バーチャル乗船記としてお届けします。
バーチャル乗船記
なんとまあ、ステキなことよ! まるでジャングルクルーズ!
桐生市内から城沼のあるつつじが岡公園までは車で約1時間。頑張って早起きして出かけましょう。遊覧船の運航時間は午前8時30分から正午まで。なぜお昼で終わってしまうのかって? それはハスの花が早朝に開花し、昼ごろにはしぼんでしまうからなんです。花の命はわずか4日間。だからこそ早起きの価値があります。

写真提供/館林市観光協会
乗船場所はつつじが岡公園遊覧船のりば。駐車場から園内に入ると、徳川幕府5代将軍・徳川綱吉公が迎えてくれます(顔ハメ看板ですが…)。近くには館林ゆかりの作家・田山花袋の文学碑や、招き猫ならぬ招きタヌキの置物も。まつり期間中は、渡船場までの道沿いに約50鉢のハスが並ぶ「世界のハス展」が開催されているので、迷うことはありません。

館林らしいタヌキの置物と徳川綱吉公の顔ハメ看板


写真提供/館林市観光協会
渡船場まで歩くこと5、6分。右手には見事なハスの群生が広がります。城沼は東京ドーム約10個分の広さがあり、ハスは沼の東側に集中して群生。この景色だけでも一見の価値ありです。

写真提供/館林市観光協会
時刻は午前8時。平日にもかかわらず、すでに乗船を待つ人の姿がちらほら。人気ぶりに期待が高まります。料金は大人1000円、小学生・5歳以上300円。ライフジャケットを着け、いよいよ乗船です。

この日は朝から太陽がじりじりと照りつけ、さすがは日本一暑い町として知られる館林。桐生に負けず劣らずの暑さです。ところが船が出航すると、水面を渡る風の何と爽快なこと!
遊覧船は軽快なエンジン音を響かせながらハスの群生地へ。周囲はハス、ハス、ハス。まるでアマゾンのジャングルに迷い込んだかのよう(行ったことはありませんが)。有名なアトラクションを思わせる光景です。

写真提供/館林市観光協会
船頭さんが花の咲く場所で船を止めてくれました。目の前には大きなハスの葉とパステルピンクの花。その中心にはかれんな黄色の花芯も見えます。初めて目にする幻想的な景色。極楽浄土とはこういう景色をいうのでしょうか。芥川龍之介「蜘蛛の糸」の冒頭を思い出しました。
船頭さんは、突然ハスを手に取ると、パキっと茎を折りました。のぞき込むとハスの実ができる部分はじょうろの先端のような形で(じょうろの先端の穴あきパーツの通称が「ハスの実」だそう)、茎に水を通すとじょうろのように吹き出すと説明してくれました。
その後も船はハスの群生地を8の字を描くように航行し、約30分で出発地に戻りました…。

写真提供/館林市観光協会
と、まあこんな感じでしょうか。非日常の世界にワープしたような、夏だけのぜいたくなクルーズ、今度は実体験で楽しみたいなぁ。
もっとぜいたくに
もっと豪華に楽しむなら
城沼湖畔の里沼リゾート「Hotel KOMORINU」では、宿泊者限定の「花ハスプレミアムモーニングクルーズ」を用意。レンコンを使った「ハスの花御膳」の夕食、朝食弁当、早朝クルーズがセットになった特別プランです。詳細は電話(☎0276・60・4131)または同ホテルの予約サイトからどうぞ。
【花ハス遊覧船データ】
7月10日~8月31日。午前8時30分~正午(乗船時間約30分、最終運航午前11時30分)。大人1000円、小学生・5歳以上300円。
問い合わせ先/館林市観光協会☎0276・74・5233、団体予約は城沼観光☎0276・73・7800。
県内のハスの名所めぐり
ハス旅に出かけよう
天幕城趾あかぼり蓮園(伊勢崎市)
日中友好の懸け橋
外堀埋め尽くす中国蓮
伊勢崎市磯町にある天幕城趾(てんばくじょうし=戦国末期に廃城)の外堀を利用して、蓮(はす)園として整備したのがあかぼり蓮園。今年は7月1日から31日まで開園しています。

写真提供/伊勢崎市
桐生市からは車で30分ほど。思い立ったらすぐにでも行けるハスの名所です。スマホで「あかぼり蓮園」と検索、ナビの経路案内に従えば間違いありません。車は蓮園脇の無料駐車場へ。入り口に案内板があります。駐車場は舗装されていませんが、かなりの広さがあり、期間中は仮設の簡易トイレ(車いす利用不可)も設置されます。
蓮園は南北に長く、広さは9562平方㍍。よくあるサッカーコートの1・3個分ぐらいでしょうか。ハスは、「日中友好大使蓮」の種を日中国交正常化30周年を記念して、2002年に譲り受け、2004年に開園しました。

駐車場から蓮園に入ると、蓮園の中心を貫くように道が通り、道の両側から大輪のハスを観賞することができます。道は細かな砂利敷きで幅広く、安心して通ることができます。
24時間オープンですが、ハスの花は早朝から咲き始め、午前中が見ごろです。ライトアップはありません。
【あかぼり蓮園データ】
伊勢崎市磯町301他。入園無料。24時間オープン。
問い合わせ先/伊勢崎市役所赤堀支所庶務課☎0270・62・1151、伊勢崎市観光物産協会☎0270・24・5111。
神成古代蓮の里(富岡市)
富岡の新名所
里山の麓に花開く
5000株の古代蓮
富岡市西部の里山・神成山の麓にある遊水地の一部を蓮園として整備したのが「神成(かんなり)古代蓮の里」です。
桐生市からは一般道で約2時間、高速道利用で1時間強。近づくにつれて道幅が狭くなるため運転には注意が必要です。入り口にはハスが植えられた経緯を記した看板があり、その脇に5台ほどの駐車場があります。ハスは6月中旬から咲き始め、見頃は7月上旬ごろまで。下調べに訪れた5月下旬にも、すでに数輪が花を開いていました。

写真提供/(一社)富岡市観光協会
蓮池は一目で見渡せる広さですが、砂利敷きの道や木道が整備されているので、古代蓮を間近に観賞できます。木道で蓮池の真ん中まで来ると、まるでハス池に浮かんでいるかのよう。恐れ多いことですが、お釈迦(しゃか)様のように「天上天下唯我独尊」とつぶやいてしまいました。

近くには、平安時代に官社に認定された由緒ある宇藝(うげ)神社も鎮座しています。取材時は改修工事中でしたが、社殿へ続く階段の下から参拝し、神成古代蓮の里の末永い繁栄を祈願しました。
【神成古代蓮の里データ】
富岡市神成926。入園無料。24時間オープン。
問い合わせ先/富岡市観光協会☎2074・62・6001
吉井いしぶみの里公園(高崎市)
公園に咲く、大輪の大賀蓮。今なら多胡碑記念館入館無料!
上野三碑の一つ、多胡碑のある吉井いしぶみの里公園の一角でも、奇跡の花、大賀蓮が観賞できます。桐生からは一般道で1時間40分ほど。大賀蓮池の場所は、吉井運動公園駐車場から、上野三碑ののぼり旗のある階段を上がったところ。池の面積は約50平方㍍、乗用車の駐車スペース4、5台分ぐらいでしょうか。ここの大賀蓮は、1993年に千葉県農業試験場(当時)から旧吉井町に株分けされ、多胡碑記念館が開館した翌年の97年に同公園内の池に植えられたものです。
多胡碑記念館によると、例年6月下旬から7月中旬が見頃だそうですが、今年は天候不順などにより生育が遅れていて、7月上旬が見ごろとなるとのこと。早朝に咲き始め、午前中には閉じてしまうので、見学は午前中がおすすめです。

写真提供/高崎市多胡碑記念館
多胡碑記念館は、上野三碑のユネスコ「世界の記憶」登録を記念して、2027年3月31日まで入館無料。午前中に大賀蓮を観賞、多胡碑記念館を見学して、多胡碑と記念館の間にあるお弁当広場で、持参のお弁当を楽しむ、こんな休日を過ごしてみてはいかがでしょう。収蔵拓本コレクション展「春秋戦国から三国志の時代」を9月6日まで開催中です。

同地のハスは古代蓮とあるように、1951年に千葉県の地下約6㍍から発見された、約2000年前のハスの実から発芽・開花したもので、発見者の大賀一郎博士にちなみ「大賀蓮」と呼ばれています。神成のハスは、大賀博士が1960年に新潟県十日町市二ツ屋弁天池へ移植した株を、2010年に分根移植したもの。地域住民の不断の努力により、現在では約5000株までに増えています。
大賀蓮の開花情報は多胡碑記念館☎027・387・4928へ。
【吉井いしぶみの里公園データ】
高崎市吉井町池1085。入園無料。24時間オープン。多胡碑記念館の開館時間は、午前9時30分~午後5時(入館は同4時30分まで)。月曜休館(月曜日が祝日・振り替え休日の場合は開館し、翌火曜日休館)。
岩宿遺跡周辺(みどり市)
市民憩いの広場
散歩がてらにハス見物
みどり市の岩宿遺跡周辺でも、6月下旬から7月下旬にかけて、規模は小さいですが、古代蓮や中国ハスを見ることができます。
桐生市内から訪れる場合は、岩宿遺跡第一駐車場に駐車すると便利です。駐車場の北側がすぐ「古代の里公園」で、西側一帯に古代ハス(大賀ハス)が植栽されています。ハス池は582平方㍍、バスケットボールコートの1面分くらいの広さ、周囲からの観賞になります。
このほか、ハスを見ることができるのは、岩宿博物館南の鹿の川沼の一角。駐車場から博物館横の遊歩道をちびっこ広場を目指して歩くこと5分ほどで、鹿の川沼の岸辺の一部を仕切った「岩宿の里ハス池」に到着です。

写真提供/みどり市教育委員会
広さは32・5平方㍍、学校の教室の半分ちょっとでしょうか。ここで見ることができるのは中国花ハス1種類。市の担当者によると「説明看板では大賀ハスや夏華北京(カカペキン)など5種類のハスがあるようになっていますが、5種類のハスは交雑が進んでしまい、現在では中国花ハスが優勢になっています」とのこと。
今年の開花は6月18日。池の中央まで木道が通っているので、「古代の里公園」と異なり、ハスに包まれるように、すぐ目の前でハスを観賞することができます。
どちらのハスも、午前10時ごろが一番の見頃のようです。

岩宿の自然を楽しもう
11日に水生動植物観察会開催
みどり市では、里山の豊かな自然環境を楽しんでもらおうと、7月11日に「古代の里公園水生動植物観察会」を開催します。講師は、桐生自然観察の森の寺内優美子さん。岩宿の里公園の古代ハス池や古代米水田の周囲で水生動植物を観察します。古代米水田は無農薬で米を作っているので、田んぼにホウネンエビが生息。同市では「岩宿の里山や古代の里公園の自然を一緒に楽しみましょう」と参加を呼びかけています。
開催時間は午前10時~正午。古代の里公園集合。定員30人(先着順、小学3年生以下は保護者同伴、みどり市以外からでも可)。参加無料。事前申し込み要。帽子、長袖・長ズボン、運動靴・長靴など汚れてもよい服装で。
みどり市のハスについての問い合わせ、水生動植物観察会の申し込みは、みどり市教育部文化財課☎0277・76・1933へ。
【古代の里公園データ】
みどり市笠懸町鹿265−3 古代ハス池 大賀ハス池。24時間オープン。



