桐生市宮本町で古道具屋「淡竹89」を営んでいる高井と申します。私の思う「古道具のロマン」。今回は着物にまつわるあれこれをお話ししたく思います。

 和菓子屋を営んでいた大好きな祖母が亡くなった時、いつも着ていた着物を譲り受けました。

 しばらくは箪笥(たんす)の肥やしだったのですが子育てが一段落し、外出するときは着物を着るようになりました。

 会社勤めをしていたので平日は制服、休日は着物、とても良いON・OFF になっていたのです。

 そんな私を見かけ「着物着るならもらって!」と声をかけてくれる人が多く、手元に着物が徐々に集まってきました。

 日本人にとって〝着物〟って特別なんですね。

 たとえ自分が着なくても、捨てるのはしのびないと思ってしまう。女性着物は〝おはしょり〟を作るので、ある程度着られるサイズに幅があります。

 とはいえ、小柄な私には着にくいものやデザイン的な好みもあり、着ないものが山積みになっていきました。

 それならば必要な人にお譲りしたい…趣味で集めた古道具もそろそろ整理しよう。

 と思ったのがお店を始めたきっかけです。

 まずは古道具を取り扱うネットショップをオープン。

 着物類は写真では説明しにくい汚れやにおいがあるので、実際見て確かめて納得していただかないと…。

 そう思い実店舗を持つことを目標に候補の街を探し歩き、桐生にたどり着きました。

 道具類も着物も、個人が持っていた数ではお店としては足りず、仕入れたものや買い取りさせていただいたものが増えて、今に至っています。

 お店で取り扱っている着物類は未使用品から使い込まれたものまで、いろいろあります。

 しつけ付きの着物を見ると「すてきなのになんで着なかったの?」、フキ綿仕立て(裾などに綿を薄く入れて仕立てたもの)の着物に出合うと「どこぞのお嬢様が着ていた?」裾をリボンテープで補強してある着物を発見した時は「お気に入りのヘビロテ着物だった?」などと、日々ワクワク検品しています。

 どんな人がどんな風に愛して使っていたのか…そんなことを楽しく想像するのが、私にとっての古道具のロマンかな。

 今の世、古い着物は捨てられたり鋏(はさみ)を入れられたりしがちです。もちろんリメイクして生かすのも一つの活用方法。

 でも、新しく着物を誂(あつら)える人が減っているのですから、着物が有り余っているのは今だけだと思うのです。

 職人さんの確かな技術や経験・感性で作られた着物。

 大切に受け継ぎ着ることが、伝統を守りさらには新しい着物が生まれる小さな種になるはずと日々思っています。

 次回は食にまつわる古道具のお話をさせていただきますね。

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