御朱印の古墳版「御墳印」は、古墳を訪れた記念に授かる印(有料)。前編で埼玉県行田市内に点在する5カ所の古墳を巡り、いよいよ後編へ。舞台は9基の大型古墳が集まるさきたま古墳公園。圧巻のスケールと歴史ロマンに触れながら、御墳印14カ所完全制覇を目指します。にわか古墳ファンとなった筆者の旅も、いよいよクライマックスへ―。

御墳印完全制覇ドライブ後半戦スタート
まずは行田名物で腹ごしらえ

ちょっと寄り道♪
行田の名物グルメ フライで腹ごしらえ

 前編(第1094号)で市内に点在する5カ所の古墳を巡り、いよいよ後半戦の舞台・さきたま古墳公園へ。到着したのは午後0時半。公園内にある9基の古墳は徒歩で巡ることになるため、所要時間はおよそ90分と予測。後半戦突入前に、まずは腹ごしらえといきましょうか。

 徒歩で行ける距離に行田名物の「フライ」が食べられる店があるとの情報をさきたまテラスで聞き、「ほのぼの亭」さんへ。

親子で切り盛りするほのぼの亭

 行田でいう「フライ」とは、揚げ物ではなく、ネギや豚肉、卵などの具が入った、薄焼きのお好み焼きのようなもの。行田フライ・ゼリーフライ友の会会員のほのぼの亭さんは2007年創業。現在は店主の多田通夫さん(80)と娘の真弓さんが店を切り盛りしています。

 メニューはフライ380円、焼きそば390円、フライと焼きそばのミックス540円を基本に、各メニューにドリンクとデザートが付くセット物と至ってシンプル。

 この日は午後からの強行軍に備え、フライを単品で注文。注文から10分ほどで、皿からはみ出さんばかりの大きなフライが登場です。食感はもちもちとしていて、クレープのよう。ソースがかかっていましたがしょうゆ派もいるそう。付け合わせはお吸い物におしんこ。これで380円とは! おやつ感覚で食べられそうですね。

【情報】

ほのぼの亭
行田市埼玉5271の4
048・559・3730
午前10時~午後1時(土・日は午後2時まで)。月曜定休。駐車場は店前に2台。


圧巻の見ごたえの「埼玉古墳群」
9基の大型古墳が群集

 埼玉(さきたま)古墳群のある場所は、現在、さきたま古墳公園として整備されています。公園の広さは約30㌶、東京ドーム6・4個分と広大です。駐車場はたっぷり用意されていますから安心です。

 公園内には道路を挟んで北側に5基、さきたまテラスのある南側に4基の大型古墳があります。いずれも国指定特別史跡です。今回は北側の古墳を時計回りに、その後南側の古墳を同じく時計回りに攻略することにします。

⑥丸墓山古墳

 まずは北側から、駐車場正面に見える小高い丘陵の丸墓山(まるはかやま)古墳から。

 埼玉古墳群で最も高い標高があり、埼玉古墳群で前方後円墳が連続して造られる時代に、唯一築かれた大型の円墳で、日本最大級のものだそう。

 整備された階段を上り、墳上へ。1590年、石田三成が忍城を水攻めする際、城がよく見えるこの古墳の上に陣を張ったという逸話も残っています。三成が確かにたたずんだであろう場所、見たであろう景色を436年後の今、追体験できる、歴史のロマンを堪能できました。

【データ】6世紀初め、円墳、直径105㍍。


⑦稲荷山古墳

 続いては稲荷山(いなりやま)古墳。この古墳も階段が整備され、墳丘へ上ることができます。埼玉古墳群の中では最も古い築造だそうです。副葬品の中には歴史的・学術的価値が高い、115の文字が刻まれた国宝の鉄剣が出土しています。

歴史的価値の高い鉄剣が出土

【データ】5世紀後半、前方後円墳、墳丘長120㍍。


⑧将軍山古墳

 次は将軍山(しょうぐんやま)古墳。古墳上には埴輪(はにわ)のレプリカが数多く並んでいるのが目印。多種多様な出土品の中でも、馬の武装用のかぶとは国内の出土が3例と少なく、大変珍しい遺物です。

 古墳内部に、復元された石室を見学できる「将軍山古墳展示館」があります。入館料一般200円(さきたま史跡の博物館共通)。午前9時~午後4時半、月曜休館。

埋葬の状況が分かる展示館

【データ】6世紀中ごろ、前方後円墳、墳丘長90㍍。


⑨二子山古墳

 続いては南に下がって二子山(ふたごやま)古墳。埼玉古墳群のほぼ中央にあり、埼玉古墳群の中で、またかつての武蔵国の中で最大の規模を誇る古墳です。その名の通り、側面から見ると二つの山のように見えます。

 かなうことなら、その美形を上空から見てみたいですね。

二つの山のなだらかな稜線が青空に映えます

【データ】6世紀前半、前方後円墳、墳丘長132・2㍍。


⑩愛宕山古墳

 北側最後は駐車場の横、天祥寺の南にある愛宕山(あたごやま)古墳。埼玉古墳群の中で最も小さい前方後円墳です。最も大きい二子山古墳の隣にあるので、大きさの違いが一目瞭然。愛らしい古墳です。墳頂にはかつて愛宕神社が座していたことが名称の由来だそう。現在は墳丘の上に石仏がひっそりと立っているとのことです。

駐車場に1番近く小さくて愛らしい

【データ】6世紀中ごろ、前方後円墳、墳丘長54・7㍍。


⑪瓦塚古墳

 いよいよ次からは南側にある四つの古墳の攻略です。

 初めは瓦塚(かわらづか)古墳。公園内にあるさきたま史跡の博物館に近く、周囲には二重の堀が巡り、墳丘のくびれ部には造出し(つくりだし)と呼ばれる張り出しがあるのが特徴です。

墳丘のくびれ部にある造出し

【データ】6世紀前半、前方後円墳、墳丘長73・4㍍。


⑫鉄砲山古墳

 瓦塚古墳のすぐそばに見えるのが鉄砲山(てっぽうやま)古墳。埼玉古墳群で3番目に大きい前方後円墳です。この古墳の一部は幕末に忍藩の砲術訓練所として利用されていました。古墳の名前の由来になっています。発掘調査ではその痕跡や鉄砲の弾も見つかっています。

その名の通り、鉄砲玉が数多く出土

【データ】6世紀後半、前方後円墳、墳丘長107・6㍍。


⑬中の山古墳

 続いてはあずまやの南、中の山(なかのやま)古墳。埼玉古墳群の南端にあり、古墳群で最後に造られた前方後円墳といわれています。関東では他に類例がない、大変珍しい壺(つぼ)「須恵質埴輪壺」が出土しています。

関東では大変珍しい壺が出土

【データ】6世紀末~7世紀初め、前方後円墳、墳丘長79㍍。


⑭奥の山古墳

 最後は奥の山(おくのやま)古墳。中の山古墳と並んで埼玉古墳群の南端にあります。古墳を邪悪なものから守る盾持人埴輪が出土しています。

古墳を邪悪なものから守る埴輪が出土

【データ】6世紀前半、前方後円墳、墳丘長66・4㍍。


 さきたま古墳公園内の九つの古墳巡りに要した時間は、写真を撮りながらのため、予想と違って約2時間半要しました。将軍山古墳展示館を見学すれば3時間はかかるかなぁという感じです。取材日は平日だからか人が少なく、まるで古墳時代へタイムスリップしたかのようでした。

【情報】

さきたま古墳公園
埼玉県行田市埼玉4834


14古墳を完全制覇/御墳印や御墳印帳を購入
観光物産館さきたまテラス

14枚の御墳印を購入したさきたまテラス

 行田市御墳印巡り、14カ所制覇した証に、観光物産館さきたまテラスで御墳印14枚(1枚300円)を購入しました。同施設スタッフによると、訪れた古墳の御墳印だけを購入する人もいれば、全部回れなかったけれど記念にと14枚購入する人もいるとのこと。クリアファイル式の御墳印帳(1冊1500円)もあります。

 楽しみ方は人それぞれ。園内には梅や桜が植樹されているので、散策するのもいいかもしれませんね。犬を散歩する人も見かけました。愛犬と一緒に御墳印制覇、素敵な一日になりそうです。

 群馬県は古墳の多さでは全国12位、埼玉県は14位(文化庁令和3年調べ)。群馬県でも御墳印巡りできたらいいですね!

【情報】

観光物産館さきたまテラス
行田市佐間1503の1
048・501・7407

9時半~17時
月曜定休(祝日は営業)